順天堂大学脳神経内科

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パーキンソン病 脳血管障害 神経免疫疾患

神経免疫疾患に関する研究

 
臨床研究
臨床面では、7月より木曜日に神経免疫外来の標榜を始め多発性硬化症、重症筋無力症、神経サルコイドーシス、神経ベーチェット、CIDP, MMN, pachymeningitis, 膠原病に伴う神経免疫疾患、傍腫瘍性症候群など症例が蓄積されている。過去の順天堂神経内科における神経免疫症例の蓄積は、日本でも有数でありたとえば重症筋無力症は少なく見積もっても200名は外来受診中であり、大学の情報センターの解析では400名を優に越えている。メスチノンの年間使用も日本一である。症例からの情報収集に関して定点観測、検査が統計的データーとして有効に利用可能となり、患者の方々一人ひとりのオーダーメード医療を今後進めていく上でも、各種神経免疫マニュアルの作製を行っている(横山)。



神経免疫の治療に関する研究
インターフェロンは、現在日本国内で使用出来る唯一の再発抑制可能な薬剤である。
 現在、順天堂では約20名ほどが導入されており、数例のドロップアウトがあるものの有効性を実感している。また、その各々の患者の遺伝子の変化をgene tipで解析した結果は、共同研究としてMicroarray analysis identifies interferon beta-regulated genes in multiple sclerosis. J Neuroimmunol. 2003 Jun; 139(1-2): 109-18に掲載された(横山、国立精神神経センター免疫研究部部長山村隆先生)。今後は、インターフェロン著効群と非有効群の比較解析、副作用の発症との関連性、いつインターフェロンの治療を中止するかに関する研究が予定されている。以上は、厚生労働省班研究において、分担研究者として継続されている(横山)。また、インターフェロン使用による予防効果の機序に関してIgG index、各種アミノ酸、NO代謝産物を含めた患者髄液の解析を行っている(横山)。
 重症筋無力症の病型および治療に関するretrospective studyは胸腺摘出術施行者、高齢者を対象に行っておりすでに30名の解析を終了した。平成16年度神経学会総会において、それぞれ発表予定である(新井、高田、横山、服部信)。
 QOLが今後臨床症状のみならず患者の方々の治療の指標となりうることから、重症筋無力症でタクロリムス治療患者における標準化テストSF36の長期的変化について研究を受託した(横山)。神経サルコイドーシスに関してはステロイドの治療法にゴールデンスタンダードがなく現在ステロイドパルス療法、その後のステロイド後療法に関する検討を行っている。その結果は日本サルコイドーシス学会誌に投稿予定中である(横山)。
 末梢性神経免疫疾患に関しては包括医療となり、入院中の大量グロブリン療法、血漿交換療法の適応、また最近特に問題となっている血液製剤の感染(HIV, CJ)を鑑み、安易な使用は避けること。また、初回導入でなければ外来での治療も検討中である(佐藤、後藤、森、横山)。



神経筋機能における細胞外マトリックスの研究
神経、筋の発生や疾患における細胞外マトリックスの研究を進めている(小川、市川、林、平澤)。特に、細胞外マトリックスの異常に起因する遺伝性筋疾患の発症機序の解明と細胞外マトリックス/基底膜の筋発生、筋疾患における役割を明らかにしようとしている。筋細胞を取り巻く細胞外マトリックスである基底膜とその関連分子の役割と機能の解明を行い、これらの分子の異常によって起こる筋疾患の発症分子機構を明らかにし、その治療への応用を目指している。基底膜成分のラミニン、パールカン、アグリンは各々が? -ジストログリカン(?-DG)結合部位を持ち、相互に競合、結合して機能することから筋疾患においても互いに深く関与している。これらの分子に注目し、臨床症状の解明から、基礎研究を進める。その結果をもとに患者やモデル動物に起こる筋障害の発症分子機構を明らかにし、将来的にはその治療を目指していく。蛋白質レベルでの分子機構解明は治療開発に重要と考えられ、疾患筋で起こるタンパク質レベルの変動をプロテオミクス解析により調べ、その変動に重要な働きをしているタンパク質の同定と機能の解析をすすめる予定である。特に基底膜タンパク質の異常が細胞内シグナルにどのように影響を与えているかを翻訳後修飾(糖鎖修飾、リン酸化)に焦点をあてて解析を行うため、中央機器分析室の村山助教授のグループとプロテオミクス解析の高精度・ハイスループット化が試みている。具体的な成果としては、NIHとの共同研究にて、パールカンノックアウトマウスのレスキューに成功した(P-/-Tgマウス)。P-/-Tgマウスは電気生理学的に確認される筋の持続収縮を認めSJS患者に観察される眼裂の狭小化を認めた。このマウスの電気生理学的検討によりパールカン欠損によるミオトニアは筋原性ではなく、神経筋接合部の異常に起因することが示された。筋病理学的には筋肥大、壊死再生、筋線維内構築異常を認めた。筋細胞と血管内皮細胞における基底膜構造に関しては、パールカンノックアウトマウスでもコントロールマウスでも電顕的解析においては、特に相違はなく異常所見は認めなかった。NMJについては、コントロールマウスでは薄切切片にて明瞭にAChE活性が確認出来、同部位を超薄切片で確認するとAChE活性を有するjunctional foldを豊富にもつNMJが散在してみられた。一方、パールカンノックアウトマウスでは薄切切片ではAchE活性を確認出来ずNMJでの染色性の低下が示唆された。P-/-Tgマウスのミオトニアの成因に関しては更にMEPPの解析などを使い詳細に検討する必要があるため、専門技術を持つ国療川棚病院の福留先生と共同研究を進めている。筋病理学的には筋肥大、壊死再生、筋線維内構築異常を認めたがその分子機構に関して更に蛋白質レベルの解析を進めていく。電顕的解析においてはノックアウトマウスでのNMJの微細構造についてより詳細に検討するためには、AChRに結合するバンガロトキシンを用いた免疫電顕などの手法も検討する必要がある。


 
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